新型コロナウイルス対策で自粛が求められていた県をまたぐ移動が全面解除され、閑散としていた岡山県津山市内の観光地も徐々に活気が戻りつつある。最初の土、日曜日となった20、21日は県外ナンバーの車も多く見られた。観光関係者は今後の回復に期待しつつ、感染防止対策の徹底を続けている。
市観光協会によると、津山市山下の津山城(鶴山公園)には両日、対前年比(前年同期の土日)27%増の計483人が入園。関西圏を中心に県外の人が多かったようだ。同協会は「もっと緩やかに回復すると予想していたが、外出を控えていた反動もあり、思ったよりたくさんの人が訪れた。一時的に従前のにぎわいを取り戻した」とする。
2日とも天候に恵まれたこともあり、マスク姿の観光客らが次々に訪れ、壮大な石垣の見学などを満喫していた。
日本100名城めぐりが趣味という熊本県人吉市の60代の夫婦は「津山城跡を見てみたいと思い、移動制限の解除を待ってようやく訪れることができた」と満足そう。車の乗り降りの際には除菌シートやスプレーで消毒するなど、「コロナ対策に気を配りながら行動している」と話した。
津山市大谷の津山まなびの鉄道館は前年より22%少ないものの2日間で409人が入館し、にぎわった。幼児や小学校低学年を連れた家族連れが7〜8割程度を占め、こちらも関西ナンバーが多かったという。訪れた人たちは久々の観光を思い思いに楽しんでいた。
ただ、両観光地とも6月(1〜21日)の入園・入館者数は前年の約半数(津山城51%、まなびの鉄道館57%)にとどまる。対外的な誘客PRは今のところ自粛しており、第2波、3波も意識した感染防止への各種対策・啓発を継続していく考えだ。同協会は「安全対策をしっかり行うことで、安心して津山での観光を楽しんでもらえるよう努めていきたい」としている。
また、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されている城東地区でも、観光マップを手に散策する人たちの姿が戻ってきた。出雲街道沿いで小物販売店を営む70代女性は「先週の土日よりも多くの観光客が訪れたと実感し、ほっとしている。コロナの心配はこれからも尽きないが、地域に少しでも活気が戻ることを願いたい」と話していた。
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県外からも多くの観光客が訪れた津山城(鶴山公園)=20日午後