津山さくらまつりが開かれている岡山県津山市山下の津山城(鶴山公園)は31日、ソメイヨシノが八分咲きとなり、お城山全体が薄ピンクに染まった。新型コロナウイルス感染拡大の影響で例年のにぎわいはなく、静かな花見シーズンを迎えている。
市観光協会によると、四分咲きの見ごろで迎えた開幕日の28日は雨の影響もあって来園者は868人、29日は3526人、七分咲きの30日は1434人で、3日間で5828人にとどまっている。単純には比較できないものの、前年の咲き具合と比べると半数以下の大幅な減少という。例年各地から続々と訪れる観光バスはほとんど入って来ず、近年増えていた外国人旅行者もほぼいないという。同協会の担当者は「極めて深刻。これほどまでに厳しい状況になるとは…」と険しい表情を見せる。
いつもなら桜の下に宴会のブルーシートがぎっしりと敷き詰められる園内。しかし今年は宴席の自粛が呼びかけられているため、そうした団体客の姿は見られない。マスク姿の花見客はのんびりと本丸まで散策したり、ベンチに座って桜を眺めながら持参した弁当を味わったりしている。
「毎年にぎやかな鶴山公園だが、今年は客自体がとても少ない。新型コロナウイルスの影響を改めて実感した」。夫婦で訪れた岡山市の男性(73)は例年とは違う風景に驚いた様子で語った。一方、初めて来園した総社市の男性(72)は「コロナウイルスの心配もあったが、一度来てみたいと思っていた。桜の美しさと石垣の壮大さがとても素晴らしい」と城の魅力を堪能していた。
同協会は「桜はしっかりと咲いて見ごろを迎えているが、次の週末も状況の厳しさに変わりはないだろう」と話している。
P1宴会自粛で園内にシートを広げるグループの姿は見られない=30日