国の特別天然記念物のコウノトリ1羽が田邑地域に飛来している。足環が付いており、野生復帰に取り組む兵庫県立コウノトリの郷公園(同県豊岡市)が放鳥した幼鳥と判明。今年9月にも田邑で目撃情報があり、同じ個体の可能性もある。
地域住民が津山朝日新聞社に寄せた情報では、22〜24日にかけて神楽尾城跡の登山口近くで、電柱に止まったり草むらの中を移動したりしていた。「幸せを運ぶ鳥」などと呼ばれており、友人宅に遊びに来た大学生の佐々木晶理さん(19)=新庄村出身=は「何か良いことがあると期待したい」と話した。
同公園によると、約200羽を全国に放鳥。両足に装着された足環の色から、兵庫県朝来市で今年生まれたメスと分かった。兵庫、岡山県南部で目撃された一方、苫田郡からも9月に寄せられたといい、上田邑の高畑貞男さんが同時期に近所で目にし、12月21日付本紙の「随想」にその様子を書いた個体と同じかもしれない。
日本野鳥の会の影山克己さん(71)=山方=は「ドジョウやタニシなどを好んで食べるが、田邑は山に囲まれていて水も豊富なので居心地が良いとも考えられる」と話す。
コウノトリは体長約1㍍で、翼開長は約2㍍。かつてアジア極東の湿地生態系の頂点に君臨したが、乱獲や河川改修、農薬の多用が影響し、1970年代に絶滅した。豊岡市は国内最後の生息地とされ、同公園が保護を進める。環境省、ワシントン条約、IUCN(国際自然保護連合)にいずれも絶滅危惧種に指定されている。
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田邑地域に飛来しているコウノトリの幼鳥=23日午前11時53分
田邑地域にコウノトリ飛来
- 2020年12月25日
- 自然