藩政時代の受刑者の供養塔で知られる岡山県津山市川崎の「三界萬霊塔(千人塚)」の彼岸法要が22日、加茂川沿いに建つ同塔の前で営まれ、地域住民らが静かに手を合わせて死者の魂を慰めた。
谷口圭三市長、県議ら来賓を含めて約80人が参列し、美作国分寺の田中孝楓住職が読経する中、焼香を行った。千人塚護持会の片山恭司会長(91)が「藩としては治安維持のために処刑を行ってきたと思う。しかし、私たちは『罪を憎んで人を憎まず』という思いを胸に塔を守り、歴史を次の世代に伝えていこう」とあいさつ。
谷口市長は「つらい現実を見つめた上で後世に残そうと尽力するみなさんに感謝を申し上げる。これからも気持ちを一つにして地域を守っていただきたい」と労いの言葉を述べた。
千人塚は1790(寛政2)年、当時処刑場となっていた兼田河原に建立。1926(大正15年)の因美線敷設工事の際には多くの人骨が出土し、納骨式が行われた。45(昭和20)年の水害で碑の行方が分からなくなるも発見され、81(昭和56)年に再建。その後、地元住民の浄財によって塚を雨から守る建物が建てられた。春の彼岸にも千人塚護持会を中心に法要が営まれている。