「柵原学園(仮称)」新設

教育・保育・学校 「柵原学園(仮称)」新設
         

 美咲町は、県北初となる小中一貫の「義務教育学校」(※メモ)の新設を進めている。柵原地区で2024年4月の開校を目指し、すでに校舎の基本設計を策定。旭地区でも23年4月に整備する計画を昨年末に明らかにした。ともに少子化の進行を見据えた学校再編となる。
 19年10月に設置を決めた「柵原学園(仮称)」は柵原中と柵原西、柵原東小を統合。いずれも老朽化したのに加え、土砂災害警戒区域に立地し、建設地として新たに同町書副の約8万平方㍍を確保した。基本設計では、2階建ての校舎や2つのグラウンド、テニスコートなどを設ける。
 旭地区は、旭中と旭小を統合する「旭学園(仮称)」。建物は02年に全面改修した2階建ての旭中校舎の増改築で対応し、今後基本設計を決める。
 両学園が従来の学校施設と違うのは、住民に開放する多目的ホールや会議室、図書室などを併設する点だ。地域コミュニティーの拠点になることで学校は連携しやすくなり、郷土学習や、地域との関わりが重要とされる「キャリア教育」の充実につなげる。
 黒瀬堅志教育長は「まち全体で学校を支え、地域振興の核にもなる複合施設にしたい」と話す。
 学校運営の中身については、有識者や保護者らでつくる開校準備委員会で詰める。要点は学年の区切りだ。検討し始めている柵原学園では、1〜4年生を学びの基礎を身につける初等部、5〜7年生を学習の充実を図る中等部、8、9年生を進路実現に向けた高等部にする案が挙がる。通学手段については従来と同様、徒歩と自転車、通学バスとなる。
 一方、使われなくなる校舎に関しては、柵原地区の3校は取り壊し、旭小は保存した上で、耐震基準を満たしていない町旭総合支所の移転先の候補にする可能性もある。
 義務教育学校を設置する背景には、歯止めのかからない少子化がある。児童生徒の数は令和30年(2048)年に、柵原地区は現在の約320人から約120人に、旭地区は約110人から約50人に減少すると推計され、複式学級を検討しなければならない学年が今後出る。老朽化に対して新築で対応していく場合、適正規模でなくなる。
 美咲町は、それぞれ中学校1校を抱える柵原、旭、中央町が05年に合併して発足。約1万3600人の人口規模で3校を維持している町は県内にないが、教育機能の集約は、地域間の交通アクセスの悪さなどが支障となり、各地区で学校を存続させざるを得ないのが実情という。
 町役場本庁舎があり、人口の約半数を占める中央地区は、中央中と美咲中央、加美小に計約500人の児童生徒がいて今後の減少幅も緩やかな上、施設も新しく整備の必要性は現時点でない。児童が中学校を訪れて授業を受けるなどする小中一貫教育を実施し、両学園とそん色ない学習環境を確保する。
 県教委は、過疎化が進む中山間地域の学校再編のモデルケースになると期待する。町は「学校がなくなればまちづくりが停滞するのは歴史が物語っており、風土や生活圏が違う旧3町で守っていくことは重要。県北の教育の先頭を走りたい」としている。
 【義務教育学校】2016年の改正学校教育法で制度化。従来の小学校6年間、中学校3年間の教育課程を柔軟に編成でき、児童期からの教科担任制や部活動の参加も可能になる。全国で126校が20年時点で開校。岡山市の山南中学区が設置を進めている。
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「柵原学園」が建設される美咲町書副の用地。森林を含め約8万平方㍍を確保する

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「旭学園」の開校に向けて増築を予定する旭中校舎の東側
P②
「旭学園」の開校に向けて増築を予定する旭中校舎の東側
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柵原学園の完成予想図


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