「珈琲」の当て字を考案した津山藩医・宇田川榕菴(1798~1846)の遺徳をしのぶ「榕菴忌」が命日の22日、宇田川家3代の墓所がある岡山県津山市西寺町の泰安寺で開かれた。今年は特別ゲストの熊本大大学院・山田高誌准教授が「榕菴珈琲」をお供えした。
2021年から「津山榕菴珈琲研究会」(金田稔久会長)が引き継ぎ14回目。市民ら23人が出席した。本堂で同寺住職が、榕菴が西洋の植物学を紹介するために作った「菩多尼訶経(ぼたにかきょう)」を唱え、一人ずつ焼香。墓所ではコーヒーと菓子を供えて静かに手を合わせた。
この日上演予定の榕菴ゆかりのオペレッタ「二人の猟師と乳売り娘」を見学するために来津していた山田准教授は、榕菴の日本の西洋音楽史における貢献を記した『新しい音楽が息づくとき~100年前の日本のざわめきをよむ』を共同で出版したばかり。「文化を残すには手間もコストもかかるなか、津山の偉人の功績をのこす活動、そして榕菴先生のパッションが受け継がれていることに感激しました」と話していた。
同研究会はこのあと、オペレッタ上演に合わせ、会場の津山文化センター(山下)で「榕菴珈琲」や「珈琲まんじゅう」などを販売した。