美作国二宮として知られる高野神社=岡山県津山市二宮=で、本殿に保存されていた大太鼓の内側から、南北朝時代にあたる「永徳貮年」(永徳2年、1382年)と記した墨書が見つかった。神社の伝承では大太鼓は江戸時代初期のものと考えられてきたが、製作年は中世にさかのぼる可能性がある。18日に同神社で一般公開する。
大太鼓は、高さ61センチ、鼓面の直径76.2センチで、ケヤキをくり抜いた一木造り。同神社によると、津山城の完成(1616年)を祝って同城に貸し出した「時太鼓」として伝えられ、大切に守られてきたという。
数年前に修理に出したところ、胴の内側から、修理や張り替え時期を示す4種類の墨書が見つかった。市文化課に報告し、調査。「文化十二年」「天保四年」「慶應二年」といった元号が確認され、一番古いものが「永徳貮年」だった。このことから南北朝時代に作られた可能性が想定される。「永徳貮年」の字は消えかけて見えにくくなっており、それに重ねる形で「天保四年」の墨書が記されていた。
市内には、嘉慶2年(1388年)に製作された中山神社の太鼓(市重要有形民俗文化財)があるが、それより6年古いことになる。市文化課は「文献を含めて調査を進め、文化財的な価値についても調べたい」としている。
18日午前10時から午後8時まで、夏祭りに合わせて神社境内の歴史資料展示館で公開する。河原仁司宮司(44)は「江戸時代より古い時代の年号に驚くとともに、神社の歴史を改めて感じた。新たな発見を多くの人に知ってもらいたい」と話す。
問い合わせは、同神社(TEL:0868-28-1978)。