「津山・中津・津和野の洋学者たち」をテーマにした公開研究大会 開催

歴史・文化
         

「津山・中津・津和野の洋学者たち」をテーマにした公開研究大会(近世・幕末維新期「海洋国家」と「異国」研究会主催)が3日、西新町の津山洋学資料館GENPOホールで開かれ、同会代表の岩下哲典東洋大学文学部教授が津山の学問とその広がりについて基調報告した。
 津山市、大分県中津市、島根県津和野町による蘭学・洋学三津同盟の締結(昨年11月)を記念して企画し、若手研究者でつくる同会員や愛好家ら約40人が参加。
 「宇田川家は日本のリーディングサイエンティスト。箕作家の系譜は医学から人文・社会科学への道筋を開き、薩摩などの先進藩にも大きく貢献した」と強調し、宇田川家5代をはじめ、幕府の蕃書調所で教授を務めた津山藩医・箕作阮甫(1799〜1863)の功績、養子の省吾(1821〜47)による世界地理書『坤輿図識(こんよずしき)』が吉田松陰や坂本龍馬に影響を与えたことに言及した。
 「阮甫、中津藩出身の福沢諭吉、津和野が輩出した西周は蘭学、洋学にとどまらず幕府に登用された。学問や研究の環境を守ることが大切であり、それらが江戸時代の260年を豊かにした」と総括。
 この後、大学院生3人の研究報告もあり、このうち早稲田大大学院の佐々木千恵さんは、ジャーナリズムへ興味を広げた阮甫が日本初の「官板バタビヤ新聞」、諭吉が居留地英字新聞を翻訳し、ふたりが蕃書調所で出会っていたことを紹介した。参加者は終始熱心に聞き入っていた。

津山の学問について研究報告する岩下教授


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