岡山県津山市池ケ原在住で、「おかもと農園」に勤務する山口葉子さん(25)。「Homing ビジネスプランコンテスト 2023」で、津山朝日新聞社賞に輝いた。受賞を機に「地域に愛され続ける卵をつくりたい」と思いを新たに。
山口さんの提案は、飼料づくりから販売まですべて地域内で循環させる新しい養鶏。プラン中の大崎地区は、トウモロコシ畑が広がっている。「日本の卵の自給率は90%以上。でも餌の90%以上は輸入。それで自給というのか疑問です。地元で飼料をつくることで耕作放棄地も減らせるし、風景も変わります」
ただ「トウモロコシの栽培には大型機械や技術の習得などが必要で、ハードルが高いのも事実。夢を夢で終わらせたくありません」。
祖父の岡本晴雄さんは10万羽を超える大規模養鶏を営んでいた。父親で2代目の俊則さん(66)が20年ほど前、「まるで工場のような風景」に疑問を抱き、ひよこの育成から行う小規模運営に変更。卸売から全て小売りに業態変換した。
葉子さんが農園で働くことを決めたのは3年前、琉球大農学部4年生のときの夏休み。津山に帰省した際、俊則さんの卵の配達の手伝いをしていて思い立った。内定していた大学院進学は辞退した。
「父はいつもニワトリとお客さんのことを考えている。とても尊敬しています」と葉子さん。そうした思いを大切にしながら「私らしい農業に挑戦したい。ここから新しい卵の物語をつむいでみたい」。