おかえり稲葉さん2017コラム

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B’z凱旋コンサートに思いを寄せて・東西南北|おかえり稲葉さん2017

「ぼくは、みんなから認められるアーティストになります」。B’zのコンサートに行った翌日、稲葉浩志さん本人から必ず、実直な人柄がうかがえる礼の電話があったと藤原修己美作学園理事長(79)。会場がなかなか満杯にならないころの話だが、昨春亡くなった稲葉さんの父一夫さんが仕立てた応援バスで、旧大阪厚生年金会館中ホールをはじめ倉敷、広島へ駆けつけた。両親が必死になって楽曲テープを知人らに売っていたころでもある。

B’zの凱旋(がいせん)コンサートは22日。地元公演は平成元年の旧美作女子大の大学祭以来28年ぶりで、地方都市11カ所を回るツアーの一会場だ。藤原さんは市企画調整部長だった二十数年前、凱旋コンサートの実現に向け、一夫さんらと東京の所属事務所を2回訪ねた。当時の永礼達造市長の名刺も差し出し要請したが、「考えてみる」の返答だったという。

藤原さんが津山東中教諭のとき、稲葉さん兄弟がいた。「まったく目立たない子だった。音楽に目覚めた彼を後押しする両親の姿には執念すら感じたし、この支えがなければ、いまのB’zは生まれていない」と言い切る。

昨春、小欄で一夫さんにふれて引いた「親思う心にまさる親心」がまた、脳裏をかすめた。超一流アーティストの故郷にファンが集う明日、小さな遺影を携えた母邦子さんは、万感の思いでステージに引き込まれる。


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