福を呼ぶ2本の真木を奪い合うはだか祭り「安養寺会陽」が4年ぶりに10日夜、岡山県美作市の同寺境内で開かれ、まわし姿の男衆が激しい争奪戦を繰り広げた。
約800年続く最古級の会陽で、同市無形文化財。この日は市内外から約700人が集結した。
午後9時すぎ、太鼓の音に合わせ、渡り廊下から副真木50本が次々に投げ込まれ、境内を埋めた男たちは手を伸ばしてもみ合った。続いて、三番太鼓を合図に照明が落ちると、横田大雅副住職(31)が観音堂の福窓から陰陽一対の本真木を投げ入れた。男たちは雄たけびをあげて一斉に飛び付き、大きな渦のようになって奪い合った。
本真木(祝い主・エクセディ―精密、美作マテリアル)は、会陽林グループの公務員・藤原貴憲さん(37)=岡山市南区=と、寺坂グループの自営業・牧野匡洋さん(41)=岡山市東区=が手に入れた。
各グループが3組の騎馬を組んで近くの御福受納所に本真木を持ち込み、真木あらためと真木を祝い主に引き渡す入福式が執り行われた。福男の藤原さんは「4年ぶりの安養寺で福男になれて光栄。亡くなった前代表の林さんにささげたい」、牧野さんは「長くてしんどかった。グループ皆と家族の健康を祈りました」とそれぞれ述べた。