ザ作州人 大日化成株式会社 小林知義さん

ザ・作州人 ザ作州人 大日化成株式会社 小林知義さん
         

作州人三十二

◎時代のニーズに食らいつく挑戦者

「大日化成株式会社」代表取締役会長 小林知義さん

▽前文
 今回の「ザ作州人」は「大日化成」(門真市)の小林知義会長(70)に登場してもらった。「独創の技術が明日を拓く」を社是に、建設用の防水・防食材メーカーとして不動の地位を築き上げたアイデアマン。近畿おかやま会副会長、大阪ユニバーサルシティロータリークラブ会長など多くの肩書も持っている。

▽本文
 アポを取るのが大変だった。「大日化成」という社名から理系の堅物が現れるのだろう、と勝手に想像していた。
 しかし、小林さんは同社会長の他に国土政策研究会会員、ポリマーセメント系塗膜防水協議会会長、守成クラブ常任理事など書き切れないほどの肩書の持ち主。忙しくて当然だったわけだ。実際、門真市にある役員室を訪ねると、ニコニコ顔で迎えてくれた。
 「落語家の笑福亭鶴瓶さんに似ているから〝落研出身ですか〟と言われますが、そんなことはありませんよ」
 林野高ではラグビー部。関大では文学部哲学科とバリバリの文系だったそうで学園紛争のさなか、父が大阪で立ち上げた防水工事会社「美作」で専らアルバイトに精を出していたという。
 「卒業したら〝後を継げ〟と言われていましたが、気の荒い職人さんを使うのが嫌で断り続けていたんですよ」
 すると父が現在の大日化成を起業。「材料を作るのだったらとなり、最初は6人でスタートしました。友だちは一流企業に就職したのに…」
 小林さん、23歳のとき。しかも、よりによって、オイルショックと重なった。
 「いきなり狂乱物価。その翌年は物余り。物が売れない時代が続いて。その後、ようやく軌道に乗り、昭和55年、勝央町に工場を建てることができました」
 時代にもまれ、横浜ゴムやブリヂストンといった超大手の参入に飲み込まれそうになりながら耐え切れたのは、独創的な技術力を磨いたからこそ。女子プロサッカー「湯郷ベル」の胸マークにもなった「ビッグサン」という主力商品の防水材をはじめ、防食、屋上緑化で存在感を発揮している。
 またタイル表面に塗る新商品「スカイコート」は透明度の高い水系ウレタン樹脂を主成分としており、臭いがなく地球環境にも優しいそうだ。
 これら卓越した技術は国内にとどまらず台湾新幹線やドーバー海峡の海底トンネル、ソウル五輪のオリンピックプールなどに貢献。その流れは東京五輪関連の施設などにもいかされている。
 中国事業で不利益を被ったこともあり、現在は国内重視。ニッチな部分を追求し、時代に合った商品開発を進めて行くという。
 「持続可能な足腰の強い会社へ。100年、200年と続く企業を目指します」
 その一方で現在は1万8000社が加盟する企業交流会「守成クラブ」や「近畿おかやま会」などのリーダーとして若手経営者の育成にも尽力している。二刀流どころではない。宮本武蔵も驚く〝経営の達人〟がそこにいた。

 ◇小林知義(こばやし・ともよし)1950年2月15日、美作市生まれの70歳。林野高から関西大学。卒業後は父の後継者として新規事業「大日化成」の発展に貢献する。おかやま晴れの国大使で近畿おかやま会、企業交流会「守成クラブ」などの中心人物としても活動。趣味もゴルフ、合唱団と多彩。


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