シンポジウム「地方創生とソーシャルビジネスの役割」(つやま産業支援センター主催)が15日、岡山県津山市の津山圏域雇用労働センターとオンラインで開かれた。さまざまな社会的課題をビジネス的手法で解決するソーシャルビジネス(SB)の先駆者や有識者らが講演し、課題や展望について意見を交わした。
永澤剛経済産業省地域経済産業政策課長の基調講演に続き、SB界をリードするボーダレスジャパンの鈴木雅剛副社長がテーマ講演し、14カ国47社で展開中の移住サポートや再生可能エネルギー普及などの事業を紹介。
「助け合いの仕組みとして、地域の課題を解決し合うことがSBの価値の連鎖になる。住民を巻き込み、価値を見出して喜ばれ、非効率の中で成り立つビジネスモデルが必要。面白い人たちが面白い仕事をやることで若者は集まる。トライ&エラー、再チャレンジできる仕組みづくりも大切」と強調した。
続いて解説を担当した松野弘オーフス大学客員教授は「津山は昔に比べてさびれたが、人材の宝庫。いかに若者を定住、移住させるかが生き延びる一つの方策で、SBのメッカとしてすべてを変革させ、経済活性化の起爆剤、地方創生のビジネスモデルにしてほしい」と提案。
この後のパネルディスカッションでは、パネリスト4人がそれぞれの取り組みを通じた思いを交わした。
このうち加茂繊維(野介代)の角野充俊社長は「社員は80人だが500人の関係者と共にさまざまな社会課題を繊維の力で解決している。社員教育で人間学を重視して個々の視野を広げ、気づきを与えている。人は自身が納得した瞬間に大きく成長し、それが会社の成長にもつながる」。
横山恵子関西大学教授は「社会的課題の解決には、多様な人とつながるネットワークの構築が求められ、学生たちの大きな学びにもなっている」と述べた。市内外の約110人が参加(オンラインを含む)し、終始熱心に聞き入った。