津山市産パン用小麦「せときらら」の産地見学会が18日、岡山県津山市安井の農事組合法人AKファームのほ場と作業場で開かれた。市内や近隣地域、東京都からパン製造にかかわる9人が訪れ、収穫から出荷までの工程を学んだ。
同市はせときららの県下最大の生産地で、県内外に幅広く周知してもらうことで生産振興と利用拡大につなげようと、今回初めて美作広域農業普及指導センターが企画。県や市、JA晴れの国岡山の職員らも参加した。
作業が大詰めを迎えているほ場では、参加者は麦の穂を摘み取って実を取り出す体験をしたほか、コンバインで刈り取る様子なども見学。作業場に移った後は、設置されている大型の乾燥機や袋詰め用の機械などを見て回った。
影山啓介理事(83)ら生産者の話に耳を傾け、栽培で工夫している点以外にも、「小麦に含まれるたんぱく質が12%以上になるようにしている。追肥作業は大変でも重要」「品質を保ち、年間約55㌧を出荷している」といった情報を聞き、理解を深めた。
奈義町柿の「小さなパン屋アトリエニコプラス」の田中麻衣店主(40)は「生産者の苦労を知ることで、多くの人に食べてもらえるように、素材を最大限に生かしたおいしいパンを作ろうと思った。せときららは香ばしさと風味があり、味がしっかりしているのでバターの使用を抑えたシンプルなパンに向いている。積極的に使いたい」と話していた。