天下太平や五穀豊穣(ほうじょう)を祈る護法祭(県重要無形民俗文化財、国選択無形民俗文化財)が14日夜、美咲町の二上山両山寺であり、神が乗り移った護法実(ごほうざね)が威勢良く境内を駆け回った。
二上山の祭神による「お遊び」で、邪魔をして捕まった人には不幸が起きるとされ、「天下の奇祭」などと呼ばれてきた。二上護法祭保存会によると、起源は鎌倉時代の1275年で、行わなかった年に災いがあったとの言い伝えがある。
地元でゴーサマと称される護法実は、津山市院庄出身の会社経営・白川晃太郎さん(48)=大阪市=が7年連続で務め、1週間寺にこもって水ごりで身を清めた。
雨が降りしきる午後11時40分ごろ、山伏の祈とうで祭神が憑依(ひょうい)すると、白い紙手をかぶり黒い衣装を着たゴーサマが本堂を飛び出してお遊びの始まり。地面に置かれたたいまつが境内を照らす中、約40分間、祭神の使いの烏のように手をはばたかせながら走った。
今年は、コロナ禍の中で多くの人が訪れる恐れがあるとして広報しなかった。夫が同保存会員という岡優香さん(35)=同町亀甲=は「地元で大切に守り継がれてきた祭り。来年こそはコロナが収束し、たくさんの人に参拝してもらいたい」と話した。
P
境内を駆け回る護法実
二上山両山寺 天下太平五穀豊穣祈る護法祭
- 2021年8月18日
- 祭事・神事・法要