伝統の「作州飾り」

歴史・文化 伝統の「作州飾り」
         

 正月用のお飾り作りも大詰め。下田邑の農業・中島昭治さん(77)、千恵子さん(73)夫妻は、美作地域伝統の「作州飾り」と呼ばれる作り方を守り続けている。
 一般的な作り方はワラの束を左右二つに分けた後、さらに片方2本ずつに分けて縄状により合わせていく。作州飾りは左右二つに分けた後、片方3本ずつにしてより合わせるのが特徴で、二つの輪っかは少し内側に閉じた状態にしている。古くから伝わる形だという。
 夫妻は45年ほど前に教わり、毎年生産。今年も穂が出る前の稲を7月末に青刈りし、乾燥させておいたわらを材料に9月中ごろから作業を始めた。両手をこするようにする「縄ない」をいとも簡単そうにこなすが、これが名人の技だ。縄を輪っか状にした後、稲穂やダイダイ、ウラジロ、昆布、御幣などを飾り付けて完成させる。ダイダイは「代々家が続くように」、昆布は「喜ぶ」、海藻に粒々があるホンダワラは「子どもがたくさんできますように」、ウラジロは「裏が白いので、裏がない」といった意味が込められているという。
 大小8種類、約1200個を丁寧に手作りし、市内の個人商店に出荷するほか、知人や友人に販売。今年は宮尾の道の駅・久米の里で買い求めることができる。
 夫妻は「今年はコロナがあり暗い一年だったが、新年がいい年になるよう真心を込めて一つひとつ作っている。これからも地域の伝統を大切に守っていきたい」と話している。


正月用のお飾り作りに励む中島さん夫妻


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