岡山県苫田郡鏡野町羽出地区に伝わるわら細工「てっちりこ」で体をたたきながら安産や健康を祈る「てっちりこ祭り」が14日、同町河内のみずの郷奥津湖で開かれ、町民をはじめ、ご利益を求めてきた人たちでにぎわった。
地区住民たちの高齢化により行事を継続して行うのが困難になる中、地域おこしを目的に活動するNPO法人・てっちりこ(赤穂武夫理事長)が引き継いで、2005年から毎年行っている。
祭りに先立ち、とんどが取り行われ、久田神社の大山富敏宮司が祝詞を奏上。持ち寄られた書き初めや正月飾りに火が灯された。その後、赤穂理事長らメンバーが約70センチのてっちりこを手にし、「無事に赤ちゃんが生まれますように」「一年元気で過ごせますように」と声をかけながら、来場者ひとり一人の肩や腰などを優しくたたいたり、お腹をさすったりした。
7月に出産を控えた福井佳苗さん(33)=同町古川=は「初めての出産で緊張していたが、みなさんに拝んでもらい心が落ち着いた。元気な赤ちゃんが生まれてくると思う」と笑顔で話していた。
赤穂理事長(71)は「毎年多くの人が来ていただいてありがたく思っている。伝統を絶やさないように、若い世代にも引き継いでもらい、続けていけるようにしたい」と語っている。