加茂町小中原の河本好隆さん(67)は、36年前に加茂町宇野で撮影した作州牛の写真を大切にしている。この写真は丑(うし)年の1985年1月3日付の本紙に掲載された。「このような風景がかつて津山にあったことを知っていただきたい」と河本さんは話す。
記事の見出しは「津山の牛肉 〝養生喰い〟の本場」。「慶雲2年(705)に美作(おそらく一宮)で初めて牛馬市が開かれたことや、京都御所の牛車(ぎっしゃ)の「のぼり牛(うじ)」を作州の牛が務めていたこと、また津山は彦根と並んで「養生喰いの本場」であったことなどを紹介している。「緑と清流のなか、豊富な草をはんで肥える津山の肉は、養生喰いの発祥通り、うまいのである」と結んでいる。
写真中の和牛繁殖農家・久永文治さんの息子の弘之さん(77)はいまも3頭の牛を飼っている。自宅には河本さんが写した写真を大切に飾っている。「当時約100戸のほとんどの家で大なり小なり牛を飼っていた。牛でしっかり収入を得られる時代は良かった」と振り返る。いま牛を飼っているのは3軒ほどといい「4代もの間、牛のおかげで生活できた。感謝の気持ちでいっぱい」と話した。
写真
36年前に加茂町宇野で撮影された作州牛の写真
作州牛の写真
- 2021年1月6日
- 歴史・文化