出雲街道の宿場町、勝間田宿=岡山県勝田郡勝央町=で津山藩主らが宿泊した「下山本陣」の間取り図、宿泊者名を記した関札、関連の古文書など主に江戸時代の資料が、本陣当主の末裔(えい)から町に寄贈された。町教委は「本陣の機能や当時の様子を知る上で貴重」とし、詳細を調べた上で一般公開する方針。
本陣は藩主や家老らが参勤交代などの際に泊まった施設。勝間田宿には二つあり、一方の木村本陣は図などがあるが、下山本陣に関する資料はほとんどなかった。下山家の子孫の末澤るりさん(71)が4月、「町の役に立つなら」と赤木耕三同町文化財保護委員長(78)の要望に応え、自宅に保管していた約950点を託した。
1859(安政6)年の間取り図は、約1メートル四方の和紙に藩主専用の寝室や浴室、側近の部屋などの間取り、敷地が約2000平方メートルあったことなどが記され、街道に面した御成門については意匠も描かれている。玄関に掲げていた木製の関札は13枚あり、これまで津山藩主専用の宿と考えられていたが、勝山藩や新見藩、松江藩などの藩主名が筆書きされている。
このほか2代目当主・下山六郎兵衛による2代津山藩主・森長継が休息に立ち寄った際の記録、本陣と連携していた大庄屋の岡富右衛門による宿泊の段取りに関する記述、最後の津山藩主・松平慶倫から贈られた感謝状、下山家歴代記など、多数の文書がある。
赤木委員長は「以前から存在を知っていたが、本陣の研究、地域の風土や民俗を知る上でも宝のような資料。御成門の復元など、勝間田宿を今後のまちづくりの起爆剤にするためにも活用できる」と期待を膨らます。
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藩主ら宿泊者名を記した関札