通信設備や検査機器などを供え、オンラインでの診療を可能にした「医療MaaS(マース)車両」の見学会(岡山県医療推進課主催)が14日、岡山県苫田郡鏡野町の町国民健康保険病院で開かれた。県は医療従事者の不足や通院の困難性といった中山間地域の課題解決を図り、検証を進めていく。
マース(Mobility as a Service)とは、個客のニーズに応じた交通サービスを行うことを指し、医療マース車両では診療所の無い地域や人口の多い町を巡回し、リモートやIT機器を活用した問診や検査といった医療サービス事業を展開する。愛知県名古屋市や長野県伊那市、高知県稲毛市などで導入されている。
この日は町内や近隣の市から医療関係者ら約30人が参加。トヨタグループと共同で「MedaaS(メダース)」を開発したMーaid(名古屋市)の木下水信代表(54)が車両内部の説明を行いながら、同病院の寒竹一郎院長(61)と高血圧症患者を想定した模擬診療を実施。遠隔操作で血圧を測れる測定器や、同じく遠隔で患者の心音が聞き取れる聴診器を使った診察などを実演した。
寒竹院長は「安定した通信環境が必要な上、IT機器に不慣れな人は使いこなすまで時間がかかるかもしれない。高価な分、用途を限定しない汎用性がほしい」。湯原温泉病院の岡孝一院長(61)は「パンデミックや災害発生時の支援にも活用できるなど、前向きな印象を受けた」と話していた。