地方起業の舞台裏を明かす「地方起業のリアル」の金融パートナー編(レプタイル主催、津山信用金庫、中国銀行共催)が9日、岡山県津山市二階町のINNーSECTで開かれた。2人の経営者が創業から二人三脚で走ってきた金融パートナーとともに「失敗したこと」や「うまくいったこと」などをざっくばらんに語り合った。
SaaSのビズ・クリエイション(岡山市)の初谷昌彦社長の金融パートナーは、中国銀行地方創生SDGs推進部・武田憲和次長。広告代理店からクラウドサービス業に事業転換する際、ベンチャーキャピタルからの資金調達に失敗。このとき、「机をフルスイングして怒ってくれた」のが武田さん。武田さんも「本気で叱った」といい、「尻に火がついた」という初谷さんはここから社員43人中37人の解雇に踏み切り、厳しいバンクミーティングを乗り切った。このあとも武田さんは親身になって事業再建に伴走。初谷さんは「運が良かった」と振り返った。
フラドレスの縫製工場・NEXTCREATION(真庭市)の松葉俊幸社長の金融パートナーは、津山信用金庫事業所応援部・吉井貴俊副長。父親の元から独立して創業。「先を見ず、結果だけを見ていた」という松葉さん。徐々に資金繰りが悪化するなか、吉井さんが取り組んだのは「可視化」。「経費を下げずに、トップラインを上げることに主眼を置いた。一社取引だったので、販路を拡大した」。そしてコロナ禍のなか取引先のメーカーが倒産するという最大のピンチを乗り越え、2022年には自社ファクトリーブランド「MAHALOHAS」を岡山高島屋に出店。吉井さんは松葉さんから高島屋出店の報告を直接受けたことを振り返り「担当者冥利につきる」と語った。