県古代吉備文化財センターは、地域高規格道路・美作岡山道路の整備に伴い、美作市城田の城田遺跡で発掘調査を行っている。これまでに、製鉄に使う木炭を生産したとみられる古墳時代後期の製炭窯跡や、約2100年前の弥生中期後半と推定される遺構が見つかっている。
遺跡は市南部の英田地域にあり、昨年度発掘を行った大林遺跡から約800㍍北東の丘陵上に立地。中腹の約1430平方㍍を調査範囲とし、5月から開始した。
製炭窯は1基出土。全長約9㍍の細長い形状で、元々はトンネル状になっていた。壁の一部が残っており、焚(た)き口や、煙を排出する煙道のほか、火力を調整したり出来上がった炭を取り出したりする横口と呼ばれる穴7カ所を確認した。焚き口は石が積まれた状態で見つかった。窯の上方では排水溝が確認された。下方の作業場とみられる平坦な場所には、炭を含んだ土が堆積していた。
遺物としては、製鉄の際に出る不純物の塊である鉄滓(てっさい)と、製鉄炉の炉壁の破片が出土。このことから、近くに製鉄炉が存在した可能性もある。2006年に同センターが発掘した下坂遺跡(同市位田)では、丘の中腹に古墳時代後期の製鉄炉跡と製炭窯跡が近接して見つかった例がある。
弥生時代の遺構は窯の下方の斜面で見つかった。斜面を平坦に造成した段状遺構が3基検出され、そのうち2基から大量の土器が出土した。ススが付着し使用痕のある土器片もある。
調査を担当する岡本泰典副参事は「窯は半分掘った状態で10月に完掘する予定。英田地域の弥生および古墳時代の集落や産業の展開について考える上で貴重な資料」と話している。
発掘は本年度末まで行われ、10月中旬からは調査範囲を拡張する予定。
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1製鉄に使う木炭を生産したとみられる古墳時代後期の製炭窯跡