“天下の奇祭” 護法祭 鎌倉時代から両山寺に伝わり749回目/岡山・美咲町  

祭事・神事・法要 縦横無尽に境内を駆け巡るゴーサマ=岡山県美咲町で
縦横無尽に境内を駆け巡るゴーサマ=岡山県美咲町で
         

 岡山県久米郡美咲町の二上山・両山寺に鎌倉時代から伝わる護法祭(国選択無形民俗文化財、県重要無形民俗文化財)が14日深夜にあり、神が憑(つ)いた〝ゴーサマ〟が暗闇の境内を駆け回った。大勢の参拝者が〝天下の奇祭〟を見守り、天下泰平、五穀豊穣(じょう)を祈願した。

 護法善神という神が、鎮守する土地を見回るため人に乗り移り、身心不浄者は捕まって災いがあるとされる。山伏の行事として引き継がれ、今年が749回目。

 ゴーサマの呼び名で知られる護法実(ごほうざね)は10年連続で津山市出身の白川晃太郎さん(51)=大阪市=が務め、1週間寺にこもり、身を清めてきた。

 本堂で修験者の祈祷(きとう)が続き、ほら貝と太鼓の音が激しく鳴り響くなか深夜0時40分ごろ、護法善神の使いであるカラスの憑いたゴーサマが飛び出し、〝遊び〟の始まり。地面のたいまつだけが境内を照らすなか、鳥のように手をはばたかせながら、お付きの人の「ギャーテー、ギャーテー」の呪文とともに縦横無尽に駆け回った。

 この日津山市内であった稲葉浩志さんのソロライブの当日チケットに当選し、ライブのあとその足で両山寺に来て家族と友人たちと合流したファッションコンサルタントの石橋麻友美さん(40)=岡山市北区=は「不思議な縁を感じた、とても幸せな1日になりました。こんな幸せがずっと続くようお祈りしました。感謝の気持ちでいっぱいです」と話していた。

 また二上山・両山寺と二上護法祭保存会は、護法祭御神体修復のためクラウドファンディングを同日から開始した。750万円を目標に、9月30日まで支援を募る。

 地域密着型クラウドファンディング・晴れフレ岡山を活用。プロジェクト名は「神仏習合と神懸かりの奇祭・護法祭 祭神「護法善神」の御神体修復へ」。支援は5000円からで計14コースあり、リターンは紙守護符、記念御朱印、修復完了式典など。

ライトアップされ神秘的な雰囲気を醸す両山寺
ライトアップされ神秘的な雰囲気を醸す両山寺

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