岡山県美作地方の祭りで1年の最後を飾る「霜月狼宮大祭」が13日から3日間、津山市の貴布禰神社で開かれ、参拝者が家内安全や厄よけなどを祈願している。
境内に鎮座する奥御前神社の大祭で、「狼様」とも呼ばれる。火災や盗難、疫病よけなどに霊験があると言われ、訪れた人たちはオオカミが好むという塩を供えたり、社務所でお札やお守りを買い求めたりしている。たい焼きなどの露店も並ぶ。
家などで祭る木の小宮を持って参拝する珍しい風習があり、本殿で神職が祈とうし、新たな分霊(わけみたま)を小宮に迎え入れる。
初めて小宮を持って参拝した津山市油木下の女性(71)は「小宮は地域にある社で住民が代々大切に祭っている。戦争が無くなり、来年は平和で安全な年になるよう願った」と話した。
神社によると、かつては小宮を背負って参拝するのが通例だったが、今ではそうした姿は見かけなくなった。また小宮を受け取った後は、どこにも立ち寄らずまっすぐ帰るのが習わしという。