美作県民局は、シカやイノシシなどの鳥獣による2022年の農林業被害額をまとめた。管内10市町村の被害総額は1億855万円で2年ぶりに減少(前年比3.4%減)した。内訳ではイノシシの被害が減った一方、シカによる食害が増え、津山地域ではより顕著だった。
管内被害の種別では、イノシシが前年比9.1%減の3797万円、シカが同7.0%増の3427万円、サルは同27.5%減の475万円。
地域別では、津山地域(津山市、鏡野、美咲、久米南町)は前年比6.0%減の4900万円で、うちイノシシが同18.3%減の1918万円、シカが同40.4%増の1284万円。勝英地域(美作市、勝央、奈義町、西粟倉村)は前年比11.5%減の3734万円で、うちイノシシが同16.8%減の1258万円、シカ同9.4%減の1872万円。一方、真庭地域(真庭市、新庄村)は同22.4%増の2220万円で、うちイノシシ同75.3%増の620万円。
「総体的にイノシシの被害が減少したのは捕獲と防護柵の設置が進んだのが一因。シカは多く生息している勝英地域から西へと行動範囲を広げている」と同局森林企画課。
獣の生息域に重なる中山間地が大半の管内被害額は、県内の被害総額(2億6306万円、前年比1.8%増)の41.3%に上る。管内10市町村では現在、猟友会員ら計1102人を非常勤職員の「鳥獣被害対策実施隊」に任命し、捕獲を推進。初心者には専門業者による実践的な、わな猟の現地講習を実施している。同局では各種補助制度により捕獲や集落ぐるみでの防護柵設置を奨励。
同局農畜産物生産課では「今後も防護柵の設置範囲を広げる一方で個体数を減らす取り組みも継続し、粘り強く被害抑制につなげていく」としている。