岡山県津山市中島地区を流れる嵯峨用水で、田に水をくみ上げる「水揚げ水車」が今年も回り始めた。この辺りで最後の水車を作っていた坂本藤四郎さん(85)が体調を崩したため、近くの農業・山根節夫さん(79)が思いを受け継いで手作りした。
地区では60年ほど前まで7基ほどの水車が活躍していたという。動力ポンプが主流になり、水車が姿を消す中、坂本さんは「田園の風景を残したい」と毎年据え続け、おおむね4年ごとに作り替えてきた。「人生最後の水車」として完成させた水車が古くなり、坂本さんに代わって山根さんが3月に見よう見まねで作ったという。
材木などを使って製作した2基(直径1.8メートル)を1日から稼働。水をすくう管がテンポよく田に流し込み、心地よい音を響かせている。
「無事に回って良かった。坂本さんの思いを継ぎ、昔ながらの風景を守っていきたい」と山根さん。水車は9月中ごろまで回り続ける。
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坂本さんの思いを引き継いで山根さんが作った水揚げ水車