B’z凱旋コンサートに思いを寄せて|おかえり稲葉さん2017
「津山に来て本当に楽しかった!」「桜が咲くころ、また行きたいです」
ファイルの1ページずつに大切にとじられた手紙や写真の数々。全国各地からこの店に届いたものだ。
「B’zファンは純粋で、感じのいい子が多い。文章から気持ちが伝わってくる」
京町にある「やき鳥一ばん」の店主・市紘吉さん(75)=山下=が、ページをめくりながら気さくな口調で語る。
津山を訪れた稲葉さんのファンが立ち寄る小さな店。手紙はここでひと時を楽しんだ人たちが、市さんを慕って旅の思い出やもてなしへのお礼をつづっている。Eメールが普及した近年、手紙はめっきり減ったものの、交流の証しであるファイルは12冊にもなった。
ファンが来店するようになったのは20年近く前。ホテルに宿泊する人の夜の食事処にと、稲葉さんの母・邦子さんが「娘たちをよろしく」と紹介したのがきっかけという。
北は北海道、南は沖縄、さらには海を越えた台湾…。いつのころか、北海道中標津町から高校1年の女の子がたった一人でやってきて驚かされたことも。
「今まで来たのは1800人くらいになるかな。中には10回くらい来た人もいるよ」
店の一角には、稲葉さん直筆のサインが入ったシャツや写真といったお宝が飾られている。訪れた人たちは市さんの人柄に触れながら、記念写真を撮っていく。ロックミュージックとは縁遠そうな昭和の郷愁漂う空間で、数え切れない出会いとふれあいがあった。
そして飛び込んできた凱旋コンサートの報。
市さんは、これほどファンに愛される稲葉さんを育てた両親への思いをより強くしたという。
昨年亡くなった父親の一夫さんとの親交を振り返り「いつも優しい笑顔で、人としての品格が感じられた」「お父さんが津山にB’zを呼んでくれた気がする…」。
邦子さんについても「化粧品店を訪ねてきたファンに接する笑顔は以前からまったく変わらず、本当に素晴らしい。稲葉さんはいい両親、家族に恵まれたと思う」と目を細める。
大学時代、応援団に所属し多くの人に声援を送り続けた市さん。今は店を訪れるファンとの交流にたくさんの元気をもらっている。
力強く言った。「稲葉さん、声と体を大事にして津山公演を頑張って! なんてったって、世界に羽ばたいた津山の代表だからね」。