岡山県津山市一宮の中山神社(岡本正弘宮司)で17日、18世紀中期に建立された惣神殿(市重要文化財)の第3回保存修理現場見学会があり、2020年から解体修理を進めて仕上げ段階となった建物について、市内外の愛好者ら50人が見聞きした。
惣神殿は1559(永禄2)年、境内を流れる御手洗川南側に末社や周辺の氏神を合祀(ごうし)して創建。現在の建物は1742(寛保2)年に改築し、1913(大正2)年、境内西側に移築された。
覆い屋が撤去された建物の外観を四方から眺め、施工業者らが解説。このうち主柱については、伝統的工法の継ぎ手「金輪継ぎ」で古材と新材を接続し、ケヤキ、桜、ヒノキ、杉といった異なる樹種の木材を用いていることなどを説明した。
真新しい桧皮葺(ひわだぶき)や銅板装飾した棟の千木(ちぎ)、堅男木(かつおぎ)が光沢を放つ「向拝唐破風付き屋根」、多くの氏神をまつる内陣も注目を集めていた。
見学に訪れていた中島浩明さん(63)は「昔の材や彫り物を極力生かしつつ修復する技術に感心した。末永く残していきたい建物」と話した。
見学会は市と神社関係者でつくる保存修理委員会が開き、保存修理は腰板張りと建具の取り付けを残すのみとなり、今月末には完了予定。総事業費約9500万円。