東中国地域 ツキノワグマ個体群調査結果公表

総合 津山市内で今月捕獲されたツキノワグマ(県提供)
         

 岡山県は、鳥取、兵庫との3県にまたがるツキノワグマの「東中国地域個体群」について、2022年当初の推定生息数が808頭(中央値)に上り、安定的な存続の水準(800頭)を超えているとの調査結果を公表した。当面は絶滅の恐れはないとし、両県と連携して人的被害防止に向けた捕獲やゾーニング管理を強化する方針という。
 これまでは県内のみで生息数を推計してきたが、繁殖期などに広い範囲を移動する生態から個体群としての把握が必要と判断し今春、鳥獣管理計画を改定。
 調査は3県が合同で実施し、21年の捕獲数や出生率、死亡率などを基に算出した。その結果、個体数は554〜1182頭の範囲とされ、実数に近い中央値を推定数とした。
 東中国地域個体群は1991年、環境省のレッドリストで「絶滅の恐れがある個体群」に指定され、県は2000年から狩猟を全面禁止して保護。しかし生息密度が高まるにつれて生息域、行動域を広げて人里への出没が相次ぎ、17年から捕獲上限を設けた上で狩猟を解禁している。
 環境省のガイドラインでは、推定生息数800頭以上で「安定存続地域個体群」とされ、15%までの捕獲を認めており、3県はこれに基づいて22年度の捕獲上限を121頭に設定。人里に繰り返し出没する個体を有害駆除するほか、錯誤捕獲した個体にICチップを付けるなどして行動範囲を掌握し、人的被害防止につなげる。
 県内の21年度の出没数は175件で20年(170件)から微増。捕獲は27頭(20年18頭)で、うち17頭が有害駆除、10頭が錯誤捕獲。狩猟は0頭だった。
 県自然環境課では「3県で情報を共有し、本来の生息域や人里との緩衝地帯に留めるゾーニング管理につなげたい。6月には繁殖期に入り、雄は行動範囲を広げるため、登山などで入山する際は鈴やラジオで人の存在を知らせるよう気をつけてほしい」としている。

津山市内で今月捕獲されたツキノワグマ(県提供)


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