岡山県津山市出身で、香川県・尽誠学園高校野球部3年の大杉裕太選手(18)=捕手=が、5日開幕する「第107回全国高校野球選手権」のベンチ入りメンバーに選ばれた。「高校3年の夏に甲子園に出る」。母と交わした約束をひた向きな努力で果たし、感謝と恩返しを胸に高校最後の夏舞台に挑む。
根性だけは誰にも負けない――。
大田出身で加茂小学校、加茂中学校に通った。おじの和俊さんが立ち上げた加茂ジュニアで小学1年の時に野球を始め、県選抜で全国大会に出場した。中学に向け、本人は岡山市の強豪・ヤンキース岡山Youngへの入団を希望。母・真弓さんは「県選抜に入ること」「勉強を頑張ること」を条件としたが、ブレない努力で6年生の時にこれをクリアした。
真弓さんは中学3年間、弁当を作り、岡山まで毎週、車で送迎。大杉選手は「ジャイアンツカップに出て東京ドームに連れて行く」と約束し、野球に打ち込んだ。正捕手としてけん引し、地区予選を制して「中学生の甲子園」と呼ばれる同カップ出場を果たした。
中学卒業時、真弓さんへの手紙に「高校3年の夏に絶対甲子園に出るけん」と決意をつづった大杉選手。特待生として伝統校の尽誠学園高校に進み、各地から集まった選手たちと切磋琢磨(せっさたくま)し、厳しい練習に励んできた。今年1月には腰に3カ月のけがを負ったが、仲間に支えられて最後の夏に向けてできることを頑張ってきた。

香川大会では控えで悔しさもあったが、尽誠学園は見事優勝し、9年ぶり12回目の夏の甲子園出場を部員一丸となってつかんだ。真弓さんは「甲子園に連れて行ってくれてありがとう。息子に関わってくれた全ての人たちに感謝したい」と目を潤ませた。
和俊さんが買ってくれたグローブを大切にし、「何苦楚魂」(なにくそだましい)という言葉の刺しゅうを入れ、多くの困難を乗り越えてきた大杉選手。真弓さんにメッセージで「今まで支えてくれて恩返しできた」と自分を育ててくれた人たちへの感謝を伝え、大舞台にこう意気込んだ。
「これから甲子園で勝負が始まるので頑張ります」
