津山城(国史跡、鶴山公園)本丸東側で、崩落の危険性がある石垣の修復工事が進められている。過去最大規模の幅約32メートル、高さ8メートル、計800個以上を2022年夏までに積み直す。今月下旬の解体着手を前にした遺構の発掘調査では、謎の石組みが出土している。
市教委が11〜17年の定点観測で外側に孕(はら)み出した状況を確認し、下方に民家や千代稲荷神社本殿(市重文)もあるため、国の許可を得て1月着工。一帯のモミジを伐採して作業用足場を組み、3月下旬から対象範囲の大小すべての石に元通り積み直すための番号付けをした。
さらに並行して周辺の発掘調査を進める中で4月、北側の石垣の3メートルほど内側に幅約8メートル、最深部2メートルにわたって想定外の石組みが出土。部分的に石垣を二重にしたような状態にも見え、延長線上には北端の階段わきの石垣がある。
これから解体作業は本年度中かけて行い、内側の土も掘り下げながら範囲内の石をいったん取り外していく。
豊島雪絵文化課主幹は「遺構の石組みについては、専門家の見解も踏まえながら今後の対処を検討する。孕みを元の安定した状態に戻す目的を第一に、慎重に作業を進めたい」としている。
同修復工事は津山城跡整備事業の一環で総事業費約1億7000万円。一部は国補助を充てる。
津山城は、初代津山藩主・森忠政が築城し、1616(元和2)年完成。石垣は近江の専門集団「穴太衆」の流れをくむ石工が手掛けたと伝わる。
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石垣の解体を前に遺構の調査が進む津山城本丸東側の現場
津山城本丸東側の石垣修復工事が進行中/岡山・津山市
- 2020年5月12日
- 歴史・文化