新型コロナウイルスに対応する緊急事態宣言の発令を受け、津山市内では観光施設を含む多くの公共施設が臨時休館しており、22、23日の土日は各観光地とも閑散とした。「我慢の時」が続く中、宣言は25日で10日を迎える。
「昨年から人出は減っているが、宣言が出されてから観光客はほとんど見られない」
重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)に選定されている城東地区。小物販売を手がける60代女性が、出雲街道を眺めながら心配そうな表情を浮かべる。
地区内では津山洋学資料館、箕作阮甫旧宅、城東むかし町家、作州城東屋敷、観光案内所の和蘭堂などが16日から31日まで休館。街道沿いでは臨時休業している飲食店もある。女性は「1年前の宣言の時よりもさらに人通りが少なくなった気がする。5月末で宣言が解除されても観光客は急には戻って来ないだろう」と困惑気味に話す。
昨年12月に重伝建に選定された城西地区でも観光客はほとんど見受けられない。西今町の津山まちの駅城西(作州民芸館)はカフェや貸し館を中止し、物販のみ営業。スタッフの女性は「重伝建選定後、地区を訪れる人が増えていただけに観光面での影響は大きい。館には年配の人を中心に地元の人が買い物に訪れる程度だが、全体的に来館者は減っている。早く以前の日常に戻ってほしい」。
市内では津山城(鶴山公園)、衆楽園、津山観光センター、津山郷土博物館、津山まなびの鉄道館などの核となる施設が休園・休館している。
市内の老舗和菓子店の経営者男性(40代)は「宣言発令を受けて取り引き先の百貨店や観光施設が閉まって土産物の需要は落ち込んでおり、影響は大きい。全国的にも観光地の土産店はかなり厳しい状況だ」と言う。
同店は「コロナのために会えなくなった人に贈ってもらいたい」と、期間限定で送料を半額にするサービスを始めた。「少しでもお菓子を食べて喜んでもらえれば。ワクチンの接種が始まったので、これから少しずつ世の中に■光■が見えてくるはず」と前を向いた。
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1多くの観光施設が休館し、人通りがない城東地区=22日午後