明治の自由民権運動に尽力し「美作の板垣退助」とも呼ばれた津山市出身の医師・仁木永祐(1830〜1902)の生誕190年を記念した冬季企画展が、西新町の津山洋学資料館で開かれている。開設した学校「籾山黌(こう)」の門下生との関わりに注目しており、幅広く活躍した生涯をうかがい知れる。来年2月21日まで。
仁木は、加茂町下津川の中庄屋の四男として生まれ、江戸などで洋学と漢学を学んだ後、籾保の医師・仁木家の養子に。地域医療に貢献する一方、籾保に籾山黌を開校し、地元などから門人を集めて漢学や医学を指導。県議会議員として政党・自由党美作支部の結成などに奔走した。
企画展では、子孫が所蔵していた遺品などを中心に約50点を展示している。教え子で衆議院議員の井手毛三(真庭市出身)が仁木に宛てた手紙では、国会閉会後に予定する慰労会の準備について相談。麒麟麦酒(キリンビール)創業者の米井源治郎(津山市下高倉東出身)が仁木の他界を受けて息子に送ったお悔やみ状では、素直に驚いたことを伝えている。他の門下生たちによる年賀状や肖像画もある。
生家の豊田家の家紋が入った衣や、教えを受けた藩医・宇田川興斎から譲り受けた人体人形や薬だんす、使ったとみられる医療器具、籾山黌の書見台や出席帳なども並ぶ。
友人と訪れた林田寿美枝さん(84)=大崎=は「美作の板垣退助と言われていたことに引かれた。この地域にこれほど立派な人物がいるとは知らなかった」と話した。
開館時間は午前9時〜午後5時(入館は4時半まで)。休館日は毎週月曜日(祝日の場合はその翌日)と祝日の翌日、年末年始。入館料は一般300円、65歳以上・高校・大学生200円、中学生以下無料。
P①
仁木永祐
津山市出身の医師・仁木永祐生誕190年を、記念した冬季企画展
- 2020年12月12日
- イベント