津山藩医・箕作阮甫の養子・箕作省吾(1821〜47)が刊行した世界地理書『坤輿図識(こんよずしき)』をテーマにした講演会(坤輿図識顕彰会主催)が20日、中之町の作州城東屋敷で開かれ、市民ら20人が興味津々に聞き入った。
地域おこし協力隊の土山浩司さん(61)=上之町=が講師を務め「ペリー来航の数年前の1845年に刊行された当時のベストセラー地理書であり、百科事典。吉田松陰が愛読して塾生に教え、坂本龍馬や西郷隆盛らにも大きな影響を与えた」と前置き。
アジアや欧州各国の国力や人口、産業、風俗、軍備にいたるまで詳しく紹介している点、補完した『坤輿図識補』には阮甫が世界の偉人略伝を付け足し、結核を患いながら執筆直後に26歳で亡くなった省吾の労、人となりについても話した。養父の阮甫が幕府蕃書和解御用に努め、出島のオランダ商館長から提出される欧州の動向を記した風説書の写しを見ることで正確な情報を知り得たことを指摘。
「幕末の志士に世界へ目を向けさせるきっかけとなり、明治維新につながった。時代を変えた本だと思う。洋学資料館で原本を見てほしい」と呼びかけた。
津山市 世界地理書「輿図識(こんよずしき)」講演会