幕末から明治にかけて活躍した津山藩士・鞍懸寅二郎の150回忌記念法要(森忠政公報恩会主催)がこのほど、岡山県津山市小田中の本源寺で開かれた。コロナ禍のため3年延長して開催。記念講演や記念碑の序幕があり、津山藩を戦乱に巻き込むことなく明治期に移行させた立役者の遺徳をしのんだ。
法要は約60人が出席。華山義道住職が導師を務め読経した。牧山政雄会長が「戦乱なく明治を迎えられたのは鞍懸先生のおかげ。遺言で墓は本源寺に建てられた。これからも遺志を守っていく」とあいさつ。来賓の松平家14代松平朗氏が「鶴山公園にある顕彰碑の題額は祖父の康春が筆をふるった。38歳で亡くなった鞍懸先生の多大なる功績に感銘を受けた」と述べた。
記念講演は津山洋学資料館・小島徹館長が「自筆の手紙から見た鞍懸寅二郎先生」と題して話した。
記念碑は鞍懸家墓所に建立。高さ170センチ、横幅110センチの御影石製で、書は松平朗氏が手がけた。鞍懸石材店が寄進した。
同会では記念事業としてこれまでに鞍懸寅二郎研究会編『史料が語る 津山藩士鞍懸寅二郎』を出版している。
鞍懸は、佐幕派と倒幕派が激しく対立するなか、徳川家親藩として難しい立場でありながら国事周旋方として活躍。維新後に暗殺され非業の死を遂げた。