県古代吉備文化財センターは本年度、岡山県津山市平福の桑山古墳群5号墳と、弥生から古代にかけた集落跡・勝負峪遺跡で発掘調査を進めている。昨年度の試掘で新たに確認されたもので、5号墳では横穴式石室が出土しており、横穴式としては古い時期の可能性もある。
同古墳群は皿川の西にある見晴らしのいい丘陵斜面に形成。5号墳と遺跡は、昨年度までに調査を終えた4基の古墳から谷を挟んで北側に位置する。
5号墳は奥壁の一部が地上に露出していたことから試掘を行い、確認された。円墳とみられる。石室は遺体を納めた玄室の長さが4.4メートルで、調査区域外の民有地にまたがっているため、幅は分からない。奥壁に小型の石を積み上げているといった特徴から、古い時期の可能性もある。石室内からは、小さな壺が複数付けられた須恵器の「子持壺(こもちつぼ)」などが出土。今後、土器の分析などで古墳が造られた時期を特定する。
調査を担当している尾上元規総括副参事は「発掘を終えた桑山1、2号墳を含め、古い横穴式石室が集中している可能性があり、珍しい。今後、副葬品の調査により、被葬者の性格や築造時期の詳細が明らかになることを期待したい」と話している。
5号墳と並行して丘陵上部にある勝負峪遺跡を調査。これまでに斜面を加工した段状遺構が3基見つかった。そのうち古代とみられる遺構では、製鉄の際に生じる鉄滓(てっさい)が出土。このことから段状遺構は、製鉄・鍛冶といった鉄に関わる生産関係の作業場だった可能性も考えられるという。
同センターは、国道53号・津山南道路の整備に伴い、2018年1月から佐良山古墳群の一部である桑山、桑山南、細畝の3古墳群を発掘している。
県古代吉備文化財センター、桑山古墳群5号墳と勝負峪遺跡で発掘調査進める/岡山・津山市
- 2020年4月28日
- 歴史・文化