国道53号・津山南道路の整備に伴い、県古代吉備文化財センターは本年度、高尾の高尾宮ノ前遺跡の発掘調査を行っている。これまでに、弥生時代中期や古墳時代後期と推定される住居跡7軒が見つかっている。
遺跡は皿川を眼下に望む南向きの斜面に位置。昨年度調査した高尾北ヤシキ遺跡から約500㍍南にある。遺構は調査区上部の緩やかな傾斜地で見つかり、住居跡は弥生中期2軒と古墳後期5軒。そのうち古墳後期の住居1軒の壁ぎわから造り付けカマドが検出され、ほかにも建て替えた痕跡が確認された。また古墳後期の土坑から、おおよその形が分かる土器が見つかった。ただ遺物の出土量は少なく、集落の存続期間は短期間だった可能性がある。
調査区下部では近年まで使われていた生活道が見つかった。高尾から美咲町の錦織地区まで川沿いに続く道の一部で、造られた時期は江戸時代にさかのぼる可能性があるという。地元では「興禅寺道」と呼ばれる。路面をシルト質の土と砂で盛り固め、斜面側には石垣と側溝があり、丁寧に造った様子が見てとれる。
7月からは調査範囲を東方向に広げる予定。事前の確認調査から、中世から近世にかけての遺跡の存在が確かめられている。
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高尾宮ノ前遺跡の発掘調査の様子