真庭市教委、盆踊り「大宮踊」を紹介する書籍『蒜山・大宮踊の世界』を発刊/岡山・真庭市

真庭市
         

 真庭市教委は、蒜山地域の盆踊り「大宮踊」(国重要無形民俗文化財)の歴史や魅力を紹介する書籍『蒜山・大宮踊の世界』を発刊した。最新の研究成果を踏まえ、民俗的特徴などを徹底的に解明し、幅広い角度から踊りの本質に迫っている。
 蒜山郷土博物館=岡山県真庭市=が2016年に開催した企画展の際に得られた成果をもとに、その後の調査・研究による新知見を加えた。全編を前原茂雄館長が執筆し、写真を織り交ぜた分かりやすい解説編と、専門的な研究編に分けて説明している。
 同踊りは真庭市や県を代表する民俗行事として高く評価されるが、学術的に分析した例は少なく、実は「よく分かっていない踊り」という。同書では踊りや曲、踊られる場所などについて項目別に詳細にふれている。舞踊表現に関しては「踊り手の所作は、五穀豊穣(ほうじょう)をもたらし、子孫繁栄を象徴する霊獣『天狐(てんこ)』に変装・仮装している姿」と解説。また、かつては男性は女装に、女性は男装になり、男女入れ替わりの異空間を創出し、宗教的な神秘性を高めていたという。神仏習合のあり方を色濃く残存させていることに加え、中世の踊堂の形式を残す会場での開催や、念仏踊の影響が見られることなども貴重としている。
 大宮踊がユネスコの無形文化遺産候補に推薦されつつある中、学術的な位置付けと再評価を試みた一冊。歴史・民俗資料として今後の幅広い活用が期待される。
 60ページ。500冊印刷し、寄贈分を除く340冊を販売。1000円。真庭市役所の生涯学習課などで販売し、郵送の場合は送料が必要。
 問い合わせは、市教委(℡0867-42-1094)。
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真庭市教委が発刊した『蒜山・大宮踊の世界』


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