土山泰輝名人、史上最年少の永世名人に王手に――。土山名人(14)=中学3年、美咲町=が防衛するか、美作地域最強の挑戦者・川口剛五段(56)=自営業、皿=が通算15期目の名人位を獲得するかと、将棋愛好家の注目を集めていた第71期美作アマ将棋名人戦(津山朝日新聞社主催、日本将棋連盟津山支部主管)は31日、高野本郷の津山キッズ将棋教室を会場に三番勝負で行われた。大熱戦の結果、土山名人が川口五段をストレートで下し、タイトルを死守した。
立会人=市本恕一三段、記録=小林正典三段、森川邦夫三段、加治颯太初段、持ち時間45分、1分秒読みで行われた。
最初に本社・福田邦夫社長が「先日の予選の緊張感を越えた真剣勝負が続くを思う。2人の対局が素晴らしいものになるよう祈念いたします」とあいさつし、対局に移った。
タイトルの行方を大きく左右する第1局は、午前9時5分、振り駒により土山名人の先手でスタート。土山名人の中飛車に対し、川口五段は「糸谷流右玉」で対抗。中盤に差し掛かり、土山名人が積極的に端(9筋)攻めを敢行するが、それをうまく逆手にとった川口五段が端を逆襲して優勢となり、中盤にかけて優位を大きく拡大。終盤戦に突入し苦戦を意識した土山名人が勝負手を連発すると形勢差が縮まり、最終盤には秒読みに追われた川口五段に悪手が続き、ついに形勢逆転し土山名人が押し切った。1時間38分、117手。
11時3分から始まった第2局は、後がなくなった川口五段の先手番で、前局と同様に中飛車対右玉で対抗。両者、意地の張り合いもあり、序盤から桂馬交換が展開されるが、その持ち駒を生かした差し回しでまたもや川口五段がリードを奪いペースをつかんだ。しかし土山名人も被害を最小限に抑えて難解な終盤戦に突入。このまま川口五段が押し切るかに見えた終盤で土山名人に絶妙手が飛び出し、一気に逆転模様に。最後は川口五段の必死の抵抗を振りほどき、土山名人が制した。1時間32分、102手。
土山名人は2期連続名人位を手にし、来期、永世名人(3期連続名人位)に挑む。
対局終了後、本社と同連盟津山支部から賞状や盾、記念品が両者に贈られ、好勝負をたたえた。
土山名人の話 1局目の逆転勝ちが大きかった。気持ちが楽になった。しっかり研究して来期も防衛し、永世名人を目指したい。
川口五段の話 残念。逆転負けで波に乗れなかった。土山名人は強かった。来年も挑戦者になれるよう頑張り、リベンジを果たしたい。
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息詰まる熱戦が展開された名人戦 土山名人(右)と川口五段
名人位を防衛した土山名人