加茂町小中原出身の絵本作家・といよしひこさん(41)=大阪市在住、本名・都井佳彦=の新作絵本『ぼくらのひみつきち』が出版された。古里加茂の豊かな自然がモチーフで、少年たちが描き出す物語に夏のエネルギーがあふれる。
作家デビュー前の2015年のコンテスト出品作が原本で、優秀賞に選ばれたものの出版には至らず眠っていた。その後、出版ワークス(神戸市)から書籍化が決まり、20年秋から約1年半かけて全ページを描き直した。
都会から引っ越してきた少年が地元の子どもたちに誘われ、夏にしか行けない特別な場所、夏山の”ひみつきち”へと向かうストーリー。青空にふくれ上がる真っ白な入道雲、周囲の山と田んぼの鮮やかな緑、オオサンショウウオが暮らすキラキラ輝く渓流、途中で見つけた不思議な木の実など、加茂の景色や、といさんが子どものころ体験した思い出と想像を織り交ぜ、水彩色鉛筆でいきいきと描いた。セリフには地元の方言を盛り込んでいる。
といさんは「都会に暮らすからこそ自分自身、自然の豊かさなど地元の良さが分かった。子どもたちに読んでもらうだけでなく、大人にも当時を懐かしいと思ってもらえたらうれしい。これからも田舎の魅力を発信したい」と話している。
34㌻。1760円(税込み)。市内では津山ブックセンターなどで取り扱っている。