岡山県津山市にある美作大学・同短期大学部の沖縄県人会の学生たちは25日、同大体育館で太平洋戦争末期の地上戦をテーマにした創作劇「時をこえ〜まだ終わらない沖縄戦〜」を上演し、観客約300人に命や平和の尊さを訴えた。
1、2年生32人が沖縄を訪問し、戦争体験者の手記や映像などを元に、脚本や台本などを手掛けた。物語は、現在も続いている遺骨収集活動をする大学生が、祖母の体験談を語りだす場面から始まり、おだやかな日々を過ごす人々が争いに巻きこまれていく様子を描いている。
ガマと呼ばれる洞くつで飢えや死への恐怖におびえる幼い子どもたち、命の選択を迫られる兵士、生き残った人々が罪悪感に苦しみながらも後世に語り継ごうとする姿を臨場感たっぷりに演じた。照明や音響を駆使した激しいダンスの演出も、戦争の悲惨さを一層際立たせた。
最後に「命は他に変えることのできない大切な宝。悲劇は繰り返してはいけない」というメッセージと力強いエイサーを披露し、観客は盛大な拍手を送った。
会社員の井上拳史朗さん(29)=美作市朽木=は「先人たちが必死に生きたおかげで今の私たちの命がある。一日一日を大事に生きようと思った」と話した。
沖縄戦が終結したとされる「慰霊の日」に合わせ、2012年から上演している。