覚醒剤中毒から立ち直り、現在は元受刑者の自立更生支援活動に尽力する長原和宣さん(ドリームジャパン北海道代表取締役)の講演会やパネルディスカッションが22日、岡山県津山市新魚町のベルフォーレ津山で開かれ、来場者は違法薬物の怖さ、自身の命や生き方と向き合う大切さを学んだ。
「命の大切さ」をテーマにした津山中央ロータリークラブ(石井香里会長)の「つやまっこの命をまもるプロジェクト」の一環。薬物問題の実態を知ることで地域の子どもたちの健全育成につなげるのを目的としている。
「生きるとは夢を叶(かな)え続けること」と題した講演会では、長原さんは過去を振り返り、薬物の使用から逮捕に至るまでの経緯を説明。打ち込んでいた野球を親にやめさせられて非行に走り、反社会的組織と関係を持つようになって覚醒剤を知ったこと、親の叱責(しっせき)で改心するも、20代で誘いにのって再度薬物を使用して依存症になった過去を打ち明け、「覚醒剤の恐ろしさを知らなかった。自分は意志が無くて権力のある人に従うことで自身を守っており、悪い誘いも断れなかった」と悔恨の思いを吐露した。
その後、薬物による幻覚や感覚まひなどに苦しみながら逮捕をきっかけに生きることのありがたさを学び、再生への道を歩む過程を語り、「覚醒剤に手を染めるきっかけは人間関係にある。しっかりとした意志と悪い誘いを断る勇気を持ち、胸を張って正直に生きてほしい。良い行いが良い結果を生み出す」と訴えた。その上で夢中になれるものや夢を見つけて追いかけていくことが更生や非行防止につながると強調した。
続く「子どもたちの未来のために」と題したパネルディスカッションでは、有本明彦津山市教育長、津山っ子を守り育てる市民の会・田口慎一郎会長、津山朝日新聞社・福田邦夫社長も加わり、子どもたちを犯罪から守るための大人、社会の役割について自身の意見を述べた。
加茂町中原の会社経営者・垂井美由紀さん(44)は「実体験を元に訴える長原さんの姿や、パネルディスカッションで子どもたちのことを真剣に考えて意見を述べているみなさんの姿に胸を打たれた。自分自身も子どもたちのためにできることをしていけたら」と話していた。

