岡山県津山市出身の公務員ピアニスト・谷口博章さん(54)の震災被災地支援CD第二弾「能登に 南三陸に 届けたい音」が1日、全国発売される。谷口さんは4月末に台湾で能登半島と台湾東部地震被災地支援のチャリティコンサートを開催しており、「大勢の方の思いを被災地に届けたい」と話している。
谷口さんは兵庫県西宮市の職員。東日本大震災後、音楽を通じて宮城県南三陸町の支援活動に取り組んできた。2018年に患った脳こうそくを乗り越え、21年には被災地支援CD第一弾「南三陸に捧げる音」を発表している。
第二弾は23年5月14日にベルフォーレ津山で開いたリサイタルが音源。ドビュッシー「夢」、シューマン「トロイメライ」、グリーグ抒情小曲集より「ノルウェーの旋律」、チャイコフスキー「ドゥムカ(ロシアの農村風景)」―など11曲を収録。
建築家の隈研吾さんが「ミスタッチまでも美しい。被災地の復興にかける強い思いのこもった臨場感に、心を打たれる」とメッセージを寄せている。
台湾チャリティー公演は、脳こうそくの影響が残っていた左手の回復を目的に台湾の鍼灸院に通い始めたのが縁で、大阪関西台湾商会・呂金瓶副会長(63)らの協力で開催。現地のマスコミから「運命に屈しないピアニスト」と紹介され評判になり、ピアノのコンサート自体が少ないなか嘉義県立芸術センターはほぼ満席の観客が詰めかけた。津山の谷口さんの実家を訪問した呂さんは「素晴らしいコンサートでした。津山の人は谷口さんのことを誇りに思うはず」と話した。「自国で地震が発生したなか、日本の被災地に心を寄せてくださるかたがとても多く感激した。日台友好の懸け橋になれたら」と谷口さん。
「脳こうそくを体験したおかげで、つらい思いをした人たちの心のケアの大切さがより分かるようになった。これからもピアノを通じて被災地支援に取り組みたい」
CDは1500円(税込み)で売り上げから経費を差し引いた額を能登半島地震被災地と宮城県南三陸町へ寄付する。CDはインターネットのほか、ベルフォーレ津山で販売中。