津山市内唯一の茅葺(かやぶ)き職人で、一昨年1月に亡くなった山本進さん(享年81歳)=加茂町公郷=の仕事を紹介する企画展が山下の津山郷土博物館で開かれている。道具類やミニチュア模型など10点が並び、来館者の関心を引いている。2月19日まで。
山本さんは加茂町の生まれで、中学卒業後16歳の時に父を親方として職人の道に入った。茅葺き屋根が姿を消していく中、県内でも数少ない職人として技術の継承に尽力。沼弥生住居跡の復元建物の屋根を手がけるなど県内外で活躍したほか、米国ロサンゼルスの日本庭園の茶室も担当した。
ミニ企画展「茅葺き職人山本進さんの仕事」と題して開催。屋根の仕上げに使う「大はさみ」、茅の形を整える「雁木(がんぎ)」といった道具類からは熟練の技を支え、長年使い込んだ様子が感じ取れる。
仕事の傍ら全国の茅葺き建物の模型(30分の1)を作製。その中から岐阜県白川郷の「切妻合掌造」、九州地方の「くど造」、山形県の「カブト造」など5点が展示され、精巧な造りが目を見張る。阿波地内での作業の様子をドローンで撮影した空撮映像も流している。
同館は「今ではほとんど見ることができなくなった日本古来の茅葺き屋根の技術を継承した山本さんを顕彰し、その技の素晴らしさに興味を持ってもらえれば」としている。
郷土博物館茅葺職人故山本進さん仕事紹介展