長屋門の復元が大詰め

歴史・文化 長屋門の復元が大詰め
         

 田町武家屋敷群の中で有数の規模だった黒田家屋敷跡で、約250年前に建てられた長屋門の復元が大詰めを迎えている。年末には完成する予定。
 長屋門は中筋の通りに面し、幅16・5㍍、高さ4・6㍍、奥行き4㍍。末田薬局(同所)の末田芳裕社長(52)が武家地の景観保存を兼ねた新店舗建設の一環として計画し、敷地約1000平方㍍を取得。老朽化していた門を6月から手作業で解体し、古材の一部といぶし瓦の半数を再利用して8月から建て直しを進め、漆喰(しっくい)塗りや出格子なども元の仕様に準じた外観がほぼ出来上がった。
 マツの主柱や梁(はり)、クリの扉などは古材が生かされ、かんぬき、蝶番(ちょうばん)といった古い金具類も往時の風情を醸す。長屋部分は漢方調剤室として使う。市の町並保存対策補助金を活用し、事業費約2500万円。来年の2期工事では、隣接して土蔵風の新店舗を建設するという。
 黒田家は津山松平藩の刀剣鑑定役などを務めた譜代の家柄。1700年代後半に建てられたとされる屋敷は2001年、類焼火災で焼失し、門と土蔵が残されていた。
 末田社長は「大熊家屋敷跡(現津山朝日新聞社)の門再建にも背を押されて構想を練り、できる限り忠実に復元している。新店舗を含め、武家地の風致を高めたい」と話す。
 「津山城下町武家地保存活用計画」が14年に策定されて以降、関連の修理修復としては4件目の事例となり、市歴史まちづくり推進室は「城下町の一角を形成した景観を後世に伝えていく上で喜ばしく、保存、修景の機運高揚にもつながる」としている。

ほぼ復元された黒田家の長屋門


古材が生かされた扉周り


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