鞍懸寅二郎本出版

歴史・文化 鞍懸寅二郎本出版
         

 幕末から明治にかけて活躍した津山藩の志士・鞍懸寅二郎の150回忌に合わせ、鞍懸寅二郎研究会編『史料が語る 津山藩士鞍懸寅二郎』を森忠政公報恩会が発行した。佐幕派と倒幕派が激しく対立するなか、徳川家親藩として難しい立場でありながら国事周旋方(*メモ)として活躍、維新後に暗殺され非業の死を遂げた鞍懸の実像を豊富な史料とともに浮かび上がらせている。
 鞍懸寅二郎は元赤穂藩森家の家臣で、文久2(1862)年に津山藩に召し抱えられた。藩の代表として幕府や他藩、新政府との交渉役を務めた。津山藩が大きな戦乱に巻き込まれなかったのは鞍懸の功績が大きかったとされている。明治4(1871)年に椿高下(現裁判所前)で暗殺者の銃弾に倒れた。38歳だった。
 同書は3部構成で、1部は鞍懸の生い立ちから暗殺されるまでの生涯を豊富な写真とコラムを付してまとめた。2部は史料編で、鞍懸が関係する国元日記や江戸日記など津山藩関係文書を翻刻して掲載。3部は史料調査から分かった鞍懸の人物像に焦点を当てた。また紙数の関係で掲載しきれなかった史料を一括して添付のDVDに収録している。
 鞍懸の墓がある本源寺(小田中)を拠点に活動している森忠政公報恩会(牧山政雄会長)の会員で組織する鞍懸寅二郎研究会(竹内佑宜会長)が制作した。「鞍懸の人生を史料から多角的に見直してみた」と竹内会長(73)。研究会員の同寺・華山義道住職(50)は「一般の方にも面白く分かりやすいに内容になった。史料で鞍懸の動きを精査しており、専門家も含めた多くの方に読んでいただきたい」と話している。
 同書はA4判、194?、1500円(税込)。津山ブックセンター本店(河辺)、喜久屋書店津山店(小原)、柿木書店(元魚町)、照文堂書店(堺町)、本源寺、津山朝日新聞社で販売中。
 問い合わせは、本源寺(☎227351)。
写真
『史料が語る 津山藩士鞍懸寅二郎』を手にする華山住職

(*メモ) 【国事周旋方】公家や幕府役人、他藩士と交渉したり、情報収集する役。


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