社団法人・日本森林学会の2019年度「林業遺産」に、岡山県美作市右手の共和林業(小椋浩之介社長)が所有する「大型木製水車駆動帯鋸(のこ)製材装置」が認定された。国内に唯一現存する稼働可能な製材用水車で、県内から林業遺産が選ばれたのは初。
同装置は1937年に配備され、建築用材の原木を板状に製材する帯鋸を水力で駆動。水車は直径4.6メートル、幅95センチあり、耐水性の高いアカマツやヒノキで作られている。地域最後の水車大工が手掛けて約20年ごとに取り換え、現物は2009年に製作された。梶並川からの導水で回し、歯車、プーリ(弾み車)を経由してドイツ製の帯鋸を回転させていたが一昨年夏、西日本豪雨の増水時に一部が破損し現在、修理中。
林業遺産は同学会100周年の13年を機に、国内各地に残された林業発展の歴史を示す景観や施設などから認定し、これまでに同装置を含めて41件が選ばれている。
小椋社長(59)は「長年にわたって社業を支えてくれた装置であり、この秋には再び水車を回し、可能な限り稼働させていきたい。業界が低迷する中で、明るい話題になればと思う」と話した。
美作市商工観光課では「全国的にも貴重な林業遺産、地域資源としてPRし、保存に対する支援も行っていく」としている。
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内部の帯鋸製材装置