ジャーナリストの池上正樹さんを講師に迎えた、ひきこもり8050(はちまる・ごうまる)問題を考える講演会が24日、岡山県津山市川崎の津山東公民館で開かれた。
同問題は、80代の親が50代の子どもの生活を支えていること。池上さんは引きこもり問題を28年間にわたり取材している。
同問題の親子は、不安や困りごとがあっても助けを求めようとしない意向があると指摘した。高度成長期を生き抜いてきた親世代は「頑張った人が報われる」という価値観が当たり前のようにあり、「子世代も親世代の教えを忠実に守ろうとして孤立し、追い詰められ、生活の維持すらできなくなっても、我慢を続けようとする」と説明した。自身も当事者である弟を8年前に亡くしていることを語った。
ひきこもり対策の潮流は、社会参画を迫るのではなく、「本人視点」を尊重した、特性に合わせた環境づくり、仕事づくりにあると語った。「自立とは、生きていきたいと思える気持ちになること。誰にでも幸せを求めて生き続けていく権利がある。誰もが自分の意志で選択して決断することができる社会を。ひきこもりの人たちが生きやすい社会は、皆が生きやすい社会」と訴えた。
また、前KHJ全国ひきこもり家族会連合会本部事務局長の上田理香さんが「家族や周りができること~本人の言動には必ず本人なりの理由がある」と題して話した。
講演会はNPO法人津山・きびの会主催。84人の参加があった。