「幸せを運ぶ鳥」 「コウノトリ」飛来情報 海を越えてきたのは初めて/岡山・津山市、勝央町

自然 勝央町田井に飛来している香川県生まれ(左)を含むコウノトリ
勝央町田井に飛来している香川県生まれ(左)を含むコウノトリ
         

 「幸せを運ぶ鳥」ともいわれる国の特別天然記念物「コウノトリ」の飛来情報が今年、岡山県津山市近辺で増えている。勝央町田井では3羽が居着いており、そのうち1羽は香川県で生まれた1歳の雌で、瀬戸内海を越えて約100キロを旅してきたとみられる。住民が定着や営巣を期待して温かく見守っている。

 津山周辺に何羽の個体が飛来したかは不明だが、1月以降、本紙に情報が寄せられたものだけでも、上田邑や下田邑、山方、領家、油木下、堂尾、金井、鏡野町、美咲町、勝央町などで確認された。

 今回、勝央町田井では地元の人が3月下旬に気づいた。ここ2週間で3羽の姿が頻繁に見られるようになったという。田植え前に水が張られた田んぼを歩きながら餌をついばんだり、羽ばたいて電柱に止まったりと、優雅な姿を見せている。

 個体識別用の足環(あしわ)を確認したところ、3羽は兵庫県養父市、豊岡市、香川県まんのう町生まれの1〜2歳の若いオスとメスと判明した。

 津山市周辺でコウノトリの撮影を続ける日本野鳥の会の影山克己さん(山方)は「香川県生まれの個体の飛来は私が知る限りでは初めて。1歳になったばかりの若い鳥が海を越えてやって来るとは」と驚く。

 近辺での飛来事例の増加については「2020年は田邑に兵庫県朝来市で生まれた1羽が飛んで来たが、昨年からは島根県で生まれた個体が相次いで飛来。近県エリアで人工巣塔が増え、巣立つ若鳥が年々増加していることが要因と考えられる。離合集散しながら広く移動しており、特にこの時季は田んぼがよく耕されて餌が多く、集中的に飛来していると考えられる」という。

 コウノトリ目線で見ると、自然の豊かさに加え、住んでいる人の温かさも魅力的に映るのかも。田井地区の人たちは日々そっと見守っており「知り合いの間で巣塔を作ってはとの話も出ており、このまま定着してくれたらうれしい。毎日いてくれることがうれしく、どんな“幸せ”を運んできてくれるのか楽しみ」と話している。


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