コロナウィルスの感染拡大 母国に帰れない外国人も/岡山・津山市

ひと
         

 新型コロナウイルスの感染拡大で諸外国が日本からの入国を制限する中、母国に帰れない人がいる。津山高専=岡山県津山市=での留学を今月終え、帰国する予定だったモンゴル人のミャグマルジャブ・ウルジーバトさん(22)もその一人だ。4月30日まで国際便の運航がストップ。古里で機械工として働くことを夢見ながら、政府チャーター機の手配を待つ。
 「生活費が足りるか分からない。家族にも早く会いたい」。流暢な日本語で不安な気持ちを語った。
 当初は卒業式後の27日に帰国するつもりだったが、中旬ごろに政府が28日までの日本便運航停止を決定。そのわずか数日後、4月末まで延期されることになり、帰るタイミングを失った。現地の先生らがメールでニュースの内容を知らせてくれていたという。
 津山高専に入学したのは3年前の4月。国のエンジニア育成プロジェクトの一員に選ばれ、高校卒業後、日本語を1年半学び、機械工学科に進学した。
 足が不自由な人でも畑仕事ができるキャタピラ式車イスの開発や、小中学生を対象にしたジュニアドクター育成塾での指導アシスタントの経験が特に思い出深い。「留学生たちとの寮生活、日本人との勉強も楽しかった」。
 本来なら、今ごろはモンゴル南部にある出身地のウムヌゴビ県ツォグトツェツィー村に戻り、国内最大級の鉱山への就職に向け、手続きを始めるはずだった。設計図に沿って機械を組み立てる仕事が待っている。
 モンゴル経済も打撃を受け、今は「すぐに就職できないかも」と将来を案じる。一方でさらに心配なのはがんを患う母親のことという。「よく連絡を取り合っていて、日本に残された私を気にかけてくれる。手洗いをしっかりするように言われる」。16歳の妹らが面倒をみるが、情勢次第では5月以降も帰れるか分からず、気が気でない。
 現在、津山市内のアパートに仮住まいしている。新入生のために寮は明け渡さなければならなくなり、NPO法人津山国際交流の会が、知り合いのつてで用意。帰国までいていいと快諾された。「みんな引っ越しまで手伝ってくれて、本当にうれしかった」と感謝を口にする。
 相談を受けた近藤英生同会事務局長は「海外で不安になったり心細くなったりする気持ちは、私もよく知っている。頼られた時こそ津山のおもてなしの心を見せなければと感じた」と話す。
 在モンゴル日本大使館のホームページによると、27日現在、すでに搭乗者が決まっているチャーター機第2便を運航する4月3日以降については、何も決まっていない。
 「本当は東京観光など帰る前にしたいこともあったけど、諦めなければならない。政府の判断を待つ」
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津山高専での留学を終えるも入国制限によってモンゴルに帰れなくなったウルジーバトさん


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